記録番号:LIM-011
記録日時:2013年8月7日(午後4時32分頃)
調査担当:境界現象研究班 第二分隊
観測記録
調査地点は四方を白壁で囲まれた矩形の中庭状空間。壁面には多数のガラス扉が等間隔に配置されており、外部構造との接続を示唆しているが、いずれの扉も開放不可能であった。
床面は鮮やかな緑色の芝に覆われており、中央には直径3メートル程度の円形プールが存在。水面は異常に静止しており、風速・気圧の変化に影響されない。
上空は青空と積雲が広がっているように見えるが、分光測定では「天井面に映し出された映像」である可能性が示唆されている。人工照明と思しき直線状の光源が壁上部に設置されており、昼夜を問わず均一な光を放射している。
植生は芝と対称的に配置された小型樹木2本のみであり、自然な成長痕跡は確認されない。葉や枝のサンプルは採取後すぐに砂状に崩壊した。
分析
LIM-011は「閉鎖空間における人工的自然模倣」と「水面の静止」という二つの要素を特徴とする。
特に「空の映像」は被験者に強い安心感を与える一方、同時に「ここから出られない」という閉塞感を増幅させる傾向が確認された。
円形プールは水質に異常を認めないが、水面に触れた観測者の証言では「深さは計測不能」であり、感覚的には底のない垂直井戸に近い印象が得られている。
結語
LIM-011は「自然景観を模した閉鎖環境」として観測される境界現象である。
外界との接続は不可能であり、内部は自己完結的な擬似生態系を形成しているように見えるが、その持続機構は不明である。
境界現象研究班は、本件を「閉鎖庭園型の静止水域」として記録し、継続的な遠隔監視を推奨する。
記録番号: OBS-057目撃者: 被験者K.R.(仮名)収集方法: 聴取による証言 証言内容 続きを見る
OBS-011:閉ざされた空の庭