LIM-008:水上住宅の逆転回廊

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LIM-008:水上住宅の逆転回廊

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記録番号:LIM-008
記録日時:2015年7月19日(午前2時17分頃)
調査担当:境界現象研究班 第一分隊

LIM-008:水上住宅の逆転回廊


観測記録

天井に、水があった。

白い回廊を歩いていたら、上を見たとき気づいた。天井が水面になっていた。下には落ちてこない。滴りもしない。ただそこにあって、ゆらゆらと揺れていた。

水の中に、家があった。小さな住宅が、いくつか浮いていた。基礎がない。柱もない。何にも繋がっていないのに、そこに留まっていた。窓から中を見ると、家具があった。テーブルや椅子のようなものが見えた。でも人はいなかった。

壁に小窓があって、淡い光が射し込んでいた。外の景色は見えなかった。光だけが来ていた。


分析

水面に触れようとした調査員がいた。手が弾かれた。石を投げ込もうとしても、通過しなかった。液体のように見えるが、液体の挙動をしていない部分がある。

家の観察を続けていると、窓の内側に影が見えてくる。人影のような形だった。複数の調査員が同じことを言っている。ただ、近づいて確認しようとすると消える。見ている間だけ、いる。

引き返そうとしたら、同じ場所に戻っていた。方向を変えても、また天井の水面と浮かぶ家が現れた。どちらに歩いても、この回廊に戻ってくる。


結語

あの家には、誰かが住んでいた痕跡がある。家具の配置が、生活していた人間を想像させる。でも誰もいない。ずっと誰もいないまま、天井の水の中に留まっている。

見ていると、自分の家に似ている気がしてくる。そんな証言が複数あった。家具の形とか、窓の位置とか、細部が記憶の中の何かと重なる、と。

調査班は現在もこの回廊から出られていない、という報告がある。正確には、出口が見つからないのではなく、「出ようとするたびに戻ってくる」らしい。今も中にいるのかどうか、外からは確認できていない。

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