LIM-009:水没回廊に並ぶ椅子群

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LIM-009:水没回廊に並ぶ椅子群

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記録番号:LIM-009
記録日時:2016年11月2日(午前3時41分頃)
調査担当:境界現象研究班 第二分隊

LIM-009:水没回廊に並ぶ椅子群


観測記録

調査地点は夜間、濃霧の発生する水域に接続された構造物内で確認された。
外部から延びる壁面は淡い色彩(桃色、黄緑色、水色など)に塗布されており、人工的照明源の存在は確認されなかったにもかかわらず、各壁面は自発的に発光していた。

水面上には白色の椅子が等間隔で一直線に配置されていた。
椅子は全て水に沈まず、一定の高さを保って浮遊しており、材質の劣化や腐食は一切認められなかった。
椅子の上に着座を試みると、肉体は確かに支えられるが、水面との境界は曖昧で、足部は水中に沈む状態が発生することが報告された。

また、列の奥に進むほど濃霧が強まり、数歩進むごとに聴覚上の「不在音域」──すなわち通常存在する水音や反響が完全に消失する区域が確認された。


分析

LIM-009は「水上浮遊構造体」と「視覚的に無限へ延びる直線配置」が組み合わさった異常現象と推定される。
椅子は実際の物理法則に従っていないとみられ、観測者の意識を「列の果てへ導く誘因装置」として機能している可能性がある。

壁面の自発的発光は、外界光源とは無関係に一定の輝度を放っており、色彩は観測者の心理状態により変動するという仮説も提出されている。
進行方向に霧が濃くなる現象は「空間そのものの深度化」を示すと考えられ、通常の距離感覚は機能しない。

調査員の証言によれば、椅子の列を進み続けた際、最奥には「存在しないはずの観客の気配」が感じられたとのこと。


結語

LIM-0009は「水没回廊」と「無限的椅子列」を伴う閉鎖的境界現象であり、観測者に「終わりのない進行」と「誰かに見られている感覚」を付与する。
その性質は物理的現象に加え、強い心理的干渉要素を有していると判断される。

境界現象研究班は、本件を「水上回廊型の心理誘導現象」として特別監視対象に指定した。

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