記録番号:LIM-003
記録日時:2011年9月7日(午後11時40分頃)
調査担当:境界現象研究班 第二分隊
観測記録
調査員は地下施設の探索中、全長約30mと推定される水没した回廊を確認した。
廊下の両壁はコンクリート製で、唯一の出口と思われる鉄製のドアが奥に存在していた。
特異な点として、水路の中央に6台以上のブラウン管テレビが積み重なっており、すべてが電源供給なしで点灯していた。
映像は統一されておらず、カラーバー、波打つ水面、そして人影に似たパターンが断続的に映し出されていた。
映像機器の配置は一定の法則性を持っており、調査員は「誰かが意図的に置いたもの」だと推測した。
ただし調査中、テレビから発せられる音声は確認されず、水面からは低い振動音のみが記録された。
分析
電源供給のない状況下で稼働していたことから、通常の電気的原理によらない現象と考えられる。
また、複数の映像に共通して「水中から人影が浮かび上がる」瞬間が観測されている。
これが実際の監視映像なのか、あるいは廊下自体の記憶を再生しているのかは判別できていない。
当該現象は「記録媒体の自己再生現象」と仮称され、過去に報告された「無電源ラジオ放送事案」との関連が検討されている。
結語
本件は「水没した空間において、記録媒体が独自に作動する」という稀少な事例である。
今後は水路の奥に存在する鉄製ドアの先を調査する必要があるが、現段階では封鎖が推奨される。
調査員の一人は「映像の中に自分の姿があった」と証言しているが、録画記録には該当の映像は残されていない。