【閲覧注意】本記録は『調査員』資格を持つ者、またはそれに準ずる者のみ閲覧が許可される。
これからあなたに伝えるのは、おとぎ話ではありません。
我々の世界の僅かな綻びから染み出してくる、あの静かで、広大で、そして時に危険な空間群を安全に探査するための、現時点で最も有効な装備リストです。
ここに記されたものを一つでも欠けば、あなたの帰還率は著しく低下するでしょう。
心して読み進めてください。
調査員の服装
匿名性とステルス性
服装は、無地のダークカラー(黒、チャコールグレー、紺)の作業着やパーカーでフード付きが望ましい。ロゴや特徴的なデザインは避ける。
理由: 「何か」に認識されないようにするため。
風景に溶け込み、監視の目から逃れるための基本的な服装。
フードは顔を隠し、不必要な注意を引かないためのお守りでもある。
小物は、 音の出ない柔らかい素材の靴(スニーカーなど)。手袋(指紋を残さない、何かに直接触れないため)。
過去の時代の探求者
服装は、80年代~90年代のオフィスファッションや、少し古びた探偵のようなトレンチコート。
理由: リミナルスペースが持つ「時間の歪み」に適応するため。その空間が生まれた時代に合わせた服装をすることで、空間からの拒絶反応を和らげるという設定。
小物は、古い革靴。色褪せたネクタイ。
非現実への対抗策
服装: 全身を覆う真っ白な防護服や、逆に非常にカラフルでサイケデリックな柄の服。
理由: 空間の持つ精神汚染や現実感の喪失に対抗するため。白い服は「異物」として自分を認識し続けるため、派手な服は強力な自己暗示で正気を保つため、という設定。
小物は、ミラーサングラス(目を合わせないようにするため)。
必須アイテムリスト
【基本装備】
光源: 予備電池を大量に用意したアナログな懐中電灯。
理由: デジタル機器はしばしば原因不明の誤作動を起こす。また、光の色が時々変わることがあり、それは空間の「機嫌」を示すサインかもしれない。
記録用具: 紙のノートと鉛筆、またはインクの出るボールペン。
理由: スマホのメモ機能は、気づかないうちに内容が書き換えられていることがある。手書きの記録だけが、唯一信用できる情報源。
アナログ時計
理由: 時間の感覚が歪む空間で、自身の経過時間を把握するための生命線。ただし、急に針が逆回転を始めたら、そこは危険な兆候。
方位磁針
理由: 常に北を指すとは限らない。方角が狂う場所こそが、この空間の「核」に近いという説がある。
チョークまたは非粘着性のテープ
理由:来た道に戻るための印。しかし、振り返ると消えていたり、全く違う印に変わっていたりすることも多い。
【推奨装備】
インスタントカメラ
理由: デジタルカメラと違い、撮影したその場で「現実」を切り取って固定できる。写っているものが、必ずしも目で見たものと同じとは限らない。
手鏡
理由: 決して振り返ってはいけない場所で、背後を確認するための唯一の手段。鏡の中にだけ映る「何か」に注意。
ノイズキャンセリング機能のない古いヘッドフォン
理由: 周囲の不気味な物音や環境音を聞き、危険を察知するため。何も音がしないはずの場所で、微かな子供の笑い声や機械音が聞こえたら…。
角砂糖や小さな飴玉
理由: 空間にいるかもしれない「幼い何か」への手土産。敵意がないことを示すためのアイテム。決して自分が食べてはいけない。
ガラス瓶
理由: その空間の「空気」を採取するため。持ち帰った瓶の中から、奇妙な音が聞こえてくるという報告もある。
最後に
さあ、準備はできました。
あとはあなたが一歩を踏み出すだけです。
でも、もし廊下の向こうからあなたと全く同じ姿をした『何か』が歩いてきたら…?
その対処法については、また別の機会に話すとしましょう。
幸運を祈っています。