記録番号:LIM-016
記録日時:2013年4月12日(午後6時頃)
調査担当:境界現象研究班 第一小隊

観測記録
調査対象は、多層構造を持つ円環状アトリウム空間である。
建造物は少なくとも四層以上に分かれ、各階には半円形の回廊とガラス手すりが設置されている。
最上部の天井中央には、楕円形の巨大水槽様構造が確認された。
内部には水が満たされており、水面はゆるやかに揺れ動いている。
水槽は完全に透明であるにもかかわらず、支柱や接合部は確認できない。
中層階には白いカーテンで覆われた部屋が複数存在し、
各フロアの中央吹き抜け部には植物が帯状に植栽されている。
最下層には芝生状の床面が広がり、上層から差し込む青緑色の光に照らされている。
空間全体は静寂に包まれており、人的活動の痕跡は認められなかった。
分析
本現象は、居住空間と水中構造の融合という特異な特徴を持つ。
天井水槽の存在は「上部=空」の概念を反転させ、
観測者に常に水没の可能性を想起させる心理的圧迫を与える。
また、各階の円環構造は視覚的に無限性を強調し、
上下方向の感覚を曖昧化させる効果が確認された。
最下層の芝生空間は一見安定した地面として認識されるが、
上方の水槽が破綻した場合、全層が一瞬で水没する構造的脆弱性を内包している。
この「静穏と潜在的崩壊」の同居が、本現象の主要な心理影響と考えられる。
結語
本現象は「安定した生活空間に内在する破滅の象徴化」と位置付けられる。
天井水槽は常時観測者の視界上部に存在し、
不可避的な崩落の予感を持続的に与える装置として機能している可能性が高い。
長時間滞在は精神的緊張を蓄積させる危険があるため、
直接進入は短時間に限定することが望ましい。
記録番号: OBS-097目撃者: 被験者A.T.(仮名)収集方法: 聴取による証言 続きを見る
OBS-016:天井水槽型アトリウム