記録番号: OBS-097
目撃者: 被験者A.T.(仮名)
収集方法: 聴取による証言
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LIM-016:天井水槽型アトリウム構造
記録番号:LIM-016記録日時:2013年4月12日(午後6時頃)調査担当:境界現象研究班 第一小隊 観測記録調査対象は、多層構造を持つ円環状アトリウム空間である。建造物は少なくとも四 ...
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証言内容(抜粋)
気づいたとき、私は白い吹き抜けの建物の中央に立っていました。
上を見上げると、天井いっぱいに楕円形の水槽があって、水がゆっくり揺れていたんです。
まるで空の代わりに水があるみたいでした。
建物は何層にもなっていて、丸い回廊がぐるりと取り囲んでいました。
各階には植物が植えられていて、白いカーテンが風もないのにわずかに揺れていました。
なのに、人の気配はまったくありませんでした。
一番下の階には芝生が広がっていて、そこだけは外の庭のように見えました。
でも光はすべて上から差していて、その光が青緑色に滲んでいたんです。
天井の水の色でした。
ずっと上から見られている感じがしました。
水槽の向こう側から、誰かがこちらを覗いているような。
水面が揺れるたびに、影のようなものが動いた気がしました。
ふと、「もしあれが割れたら」と考えました。
ここは一瞬で水に満たされる。
その想像が頭から離れなくなって、息が浅くなりました。
でも不思議と、恐怖だけじゃなかったんです。
あの水の中に入れば、すべてが静かになるような気もして。
次の瞬間、視界が白くなって、気づけば元の場所に戻っていました。
けれど今でも、上を見上げると、水面の揺れが思い出されるんです。
まるで、まだあの天井がどこかに存在しているみたいに。