OBS-013：長廊下プールと「bye-bye」

目を開けると、信じられないほど長い廊下の中に立っていました。
足元は一面、水色のプールで、天井の光が水面に反射して揺れていました。
左右の壁には、同じ形の四角い窓が延々と並んでいて……その数は数えきれないほど。
どこまでも続くように見えて、息が詰まりそうになりました。

廊下の突き当たりには白い壁があり、その真ん中にパステルカラーのスライダーが設置されていました。
まるで遊園地にあるような滑り台で、でもそこだけが場違いに明るく、やけに目を引いたんです。

さらにその壁には、はっきりと「bye-bye」と書かれていました。
誰かに別れを告げられているみたいで、背中が寒くなりました。

水に映った光のせいかもしれませんが、窓の中から何かが覗いているように感じました。
でも、覗き返しても何もいません。
それなのに、視線だけはずっとつきまとってくるんです。

スライダーの中からは、風のような音が響いていました。
どこかへ続いているのかもしれない……そう思った瞬間、強烈に「滑れ」という衝動に襲われました。

私は必死に目を閉じて後ずさりました。
そうしなければ、二度と戻ってこられない気がしたからです。

今でも夢に見るんです。
廊下の奥から、やわらかい声で「bye-bye」と呼ばれるのを。